アクチュエータモータを簡単に交換する方法!

集中トアロック(オートロック)の故障、その原因はアクチュエータの故障であった・・・・・・

アクアクチュエータ故障と言っても
実は中身のモータ寿命という700円ぐらいで入手できる部品だけだった・・・・・・
新品のアクチュエータを注文すると一個8000円ぐらいするという、その差10倍以上!!
ならばモータの交換を自分でやればよいだけだなと思ったのですが
しかしモータを交換するには、一つ大きな難関があったのです!
それはモータシャフトについている「黒い部品」の組み換え作業
ここでは この難関作業を専用工具を自作して簡単に精度よく作業した記録です!

集中ドアロック(オートロック)の不具合発生!

ドアロックアクチュエータの中身

少し前から愛車のアコードワゴンの集中ドアロックが調子悪くなってきました。 調子の良い時はいいのだが、悪くなるとロックが掛かったり掛からなかったりするという調子の悪さです。 そう言う不安定な症状だから、気づかないとそのドアだけロックをし忘れている状態となり 防犯上最悪なのです。

そんな症状が頻発して起こるようになり、自動ドアロックシステムに信頼がおけずストレスがたまるので修理する事にしました。

実は、この故障初めてではないのです。
以前助手席のドアロックが同じ症状を起こし半年後には左リアドアと、修理した経緯があるのです。
その時はドアロックアクチュエータのモータの不具合(モータの使用限界)だったのだが、考えてみると、毎回同じ回数だけ 全てのドアロックアクチュエータが動作するのだから、同じ時期に同じ原因で故障する可能性は高いのも不思議ではないのです。

まずは原因を特定すべく、症状を観察するとドアロックは閉まろうとするが音がおかしく(動作が苦しそうな感じ)である事から 電気回路的な問題ではなく、ドアロックを操作するアクチュエーター自体の動作に物理的問題があると判断しました。
(以前の経験からモータの不具合と判断した)

ちなみに・・・・・
このドアロックアクチュエータの不具合をディーラーで修理に出すと、1万5000~2万円近く掛かるらしい。 となると順次故障するとなるとドアの枚数分=7万5000~10万近く掛かるというビックリするような金額になってしまう計算になる・・・・・

アクチュエータの取り外しとモータの確認

FC-280PC

アクチュエータを取り出す手順などは、ネットで車種名などを絡めたキーワード検索すると先人がそのノウハウを 記したHPなどを見つける事が出来ますが、今回、自分のアコードワゴン(CF7)のテールゲートの作業を記したHPが 見当たらなかったので、後に続く方の為に等サイトでも一応簡単な手順を紹介しておくので必要な方は参考にして下さい。

■テールゲートの内張り分解

1. (確認)
テールゲートを空けた状態です。 この内張りの下側を外していきます。
と言っても数点部品を外せば取る事ができます。
2. (ライト)
テールゲートについている照明ライトのレンズを外します。
レンズを外すとネジが2本あるのでそれを外し、その脇にある爪を起こしてライト本体を外します。 その際本体についている配線を外します。
3. (クリップ)
テールゲートロックの横にある2個のプラスチックのクリップを外します。
外す時は中心のピンを一段押し込み、隙間にドライバーなどを入れて外します。
(取り付ける時はピンを外側に押し出してセットしておき、内張りに取り付けたら押し込んで平らに すればOK!)
4. (ネジ)
テールゲート閉める時の手掛けの脇にあるタッピングスクリュウを外します。
ちなみに外す部品はこれで終わりです。
5. (内張りを外す)
内張りは本体に着いているプラスチックのクリップのみで付いています。
これを外すには、指の入る隙間に指を入れて引っ張って外すのだが、内張りが割れるのを恐れて ゆっくり様子を見ながら引っ張って外すより、一気に勢い良く引っ張って、外す方が上手く外れます。
冬の冷えている時はプラスチックは割れやすいので日なたなど温かい処において全体を 温めてから作業した方が部品の破損を防げます。
6. (ロックを外す3本)
アクチュエータはゲートロックについているのでロック本体を外します。
他のプラスネジは#2というサイズが使われていますが、このネジは#3という先の太いサイズなので #3のドライバーを用意します。
この作業は注意が必要です。かなり固く締まっていてネジをナメ易いです。 必ず#3のドライバーを使ってください。(今回の一番の難関?)
7. (配線を外す)
ゲートロックには2本の電気配線がついています。オートロック用と半ドア警告灯ライトスイッチ用
オートロック用の配線は本体を外しながらでないと外せません。
8. (アクチュエータを外す)
ゲートロックを外すとアクチュエータはネジ3本で付いているのでネジを外して取り外します。

さてアクチュエータを取り外し中身を確認する為に分解した。(中身は綺麗な状態であった)
なにやら最近の車は本体が溶着で作られており分解が難しいようだが、この年式はネジで留めであるので簡単に分解できる。
分解して確認すると予想通りギヤーなど構成部品に不具合は見つからず、 モータ自体の不具合である事が確認できた。 モータ自体も回らないのではなくモータ使用限界に近くトルクが出ない時があり、そのために動作不良を起こすのであった。

以前修理した時は、今回と同じようにモータの不具合を確認してネット上でモータの型番で探したが見つからず、 しかたないので秋葉原でモータを探して購入修理しましたが、その時、見つけるのにかなり苦労した記憶があります。 しかもやっと見つけた物も「FC-280PA」というタイプで、これは電源接続部が違うタイプだったので、そこも改造が必要 という非常に手間が掛かったのであります。
その後、某オークションで出展している方がいるのがわかり、 今回はそこから入手しました。

ピニオンプーラー制作

ピニオンプーラー制作

さてここまでくれば、後はモータを交換して元に戻せば修理完了なのであるが
実はこれが簡単ではないのです

何に苦労するかと言えば、写真を見れば分かりますが、モータ側に着く樹脂で出来たピニオンギヤーへ動力を伝える のに直接ではなく、モータのシャフトに黒い部品が着いており、それをかえしてピニオンギヤーへ動力を伝えて いるのです。
(※プラスチックのピニオンギヤーは簡単に外れます。)

そしてこの部品・・・・・
モータのシャフトにかなり強い嵌合いで圧入されいて、ちょっとやそっとの事では外すことが出来ないのです。 ちなみに前回の修理の時は手持ちの工具でこじったり熱を加えて部品を膨張をさせたり、イロイロ試みて モータのケースは変形しシャフトは歪むなど苦労してやっとこさ外したのですが、結局はかなりの高温で 熱を加えたりしたので使うのを止め、真鍮で同じ形状の部品を制作してモータにロックタイトで固定して修理しました。
(※これはこれで問題なく、今でも快調に動作している)

ただロックタイトで固定する方法は固定に時間が掛かるので、今回別の方法を試みる計画を立てました。

まずはネットを使って先人のやり方を調べてみましたが、やはり苦労している記述と交換自体を諦める人などが多数見つかりました、 その中で奇抜なアイデアとして見つけたのは、モータブラシを交換して本体は古いまま使う方法などがありました。
※実は自分の物もそうでしたがモータの寿命とはこのブラシの摩耗が主な原因のようです。なのでこれが原因なら ブラシさえ交換すれば直るという修理方法です。
(意外とそのアイデアの需要は高いようで、某オークションでその部品のみ新品で出展されていました。)

ブラシのみの交換は黒い部品はそのままなので苦労は無い
一見良いアイデアではありますが、 実はこの方法はリスクがあります、モータに使われている磁石自体が熱などで弱くなっている事があるのです。 その場合モータは回るようにはなるが力が弱く、結果動作する時により多くの電気が流れてモータが過熱して直ぐに 壊れるという可能性があるのです。
(※リアドアの時に一度経験しました.実はこのモータも今回交換します。耐久性に難ありです)
なので今回はこの方法も見送りました。

それ以外ではピニオンギヤープーラーを使った交換方法の記述が少数ではあるが見つかりました。
まあ、本来の修理の正攻法と言える方法なのですが、マブチモータのような小さなモータ用のピニオンギヤプーラ が存在するのを私が知らなかっただけと言う噂も・・・・・・・

調べると、この方法を使った記述では、ラジコン模型用を流用して作業しているようですが これらの市販の物は工具設計が模型用なので今回の作業では上手く行かず、改造するなどして苦労しているようでした。

実際の作業では、外すのと同様に新しいモータにセットするのもかなりの力を加える必要がある圧入なので大変 なのです。
なので叩き入れるなど衝撃を加えるなどの方法をとるとモータの精度に狂いが生じたり、部品を正規の位置に正確に組み込むのが難しい事が予想されます。 新品モータなのでモータに無理な負荷を加えずに精度良く組み込むには専用の圧入工具が欲しい のでありました。

■FC280-PC専用 ピニオンギヤープーラの仕様決定

愛車の年式も古く、残りのドアアクチュエータも遅かれ早かれモータの寿命がくる事が予想されるので、 作業を楽に済ます方法と言う事で、モータ交換における難関である黒い部品の脱着を行う
専用工具ピニオンギヤープーラーを作成する事にしました。

▼そこで今回制作する専用工具の仕様は以下としました。

ネット上でどのような商品が売られているのか調べてみました。
どうやら市販品のプーラーはイロイロな物に使えるように作られているがその分中途半端となってしまいます。 それと工具の性質上当然ですが、どの商品も外す機能のみで組み込む機能が無いないのでした。
そんな中で電動モデルガンのカスタムなどを行う為に作られた工具が目的とする仕様を満たしていました。

制作する手間を考えれば買うのもよいのですが、この専用工具は扱うモータのサイズが大きく
今回のモータには使う事が出来ないのでした。

これらの情報を元に、現在手持ちの材料で作れるようアレンジでして制作しました。

■FC280-PC専用 ピニオンギヤープーラの制作工程

1. (材料)
手持ちの材料をこんな感じで用意しました。
(6mmX80mmのボルトは購入しました。)
2. (材料の切り出し)
各材料をそれぞれ必要な大きさに切りだします。
3. (材料の成形)
粗切りしたベース用アルミ材を設計寸法になるようフライスで成形しています。
4. (ネジ切り作業)
プーラーベースにネジを立てています。
5. (メインのネジ部の制作)
続いて旋盤で工具でメインとなるベースネジ部を制作します。
材料はSS材です。
6. (旋盤のネジ切り)
続いて、旋盤によるネジ切りです。
これにより材料の中心に正確にネジを切ります。
直角が出ていないと、モータに無理な力が加わってしまうので大切な作業になります。
7. (加工終了!)
と言う感じで全ての部品が完成しました。
8. (組立て終了!!)
全ての部品を組み立てて専用プーラー完成!

ピニオンプーラー完成!

Bild

専用プーラーが完成しました!
これでモータから黒い部品を簡単に着脱できるはずです。今回はテールゲートと右リアドアの アクチュエーターモータを交換します。遠くない将来残りのドアも作業する事になると思うので、その時もこの 専用工具が力を発揮してくれるでしょう。

まずは作業した結論から先に言うと超簡単!正確!アッと言う間に作業が完了しました。
あまりの簡単さにこれまでの苦労は何だたったか?と思わず言いたくなるぐらいでした。手間暇をかけて作った かいがありました。
それではどんな感じで交換したのか紹介します。

■FC280-PC専用 ピニオンギヤープーラによる交換作業

先ずは交換するアクチュエータから故障したモータを取り外し、 交換する新品のモータも準備します。この時古いモータの全長を測定しておきます。
古いモータから黒い部品を取り外す為の枠にモータをセットします。
セットされたモータをプーラー本体にセットします。
セットされたら、真直ぐにプーラーのピンが押している事を確認しながらゆっくりプーラーを締め込んでいきます。
グッと押し始めた感じがした後、軽くコクッと押す力が緩んだ感じがした後はスムースに黒い部品は抜けていき、 最後はポロリとあっさり外れました。
(前回のあの苦労はなんだったのか・・・・・・
その差をしみじみ感じました)
続いて、新品のモータに組み付けます。
モータが曲がらないようにプーラーのセンターとモータのシャフトを合わせます。
黒い部品を組付け用パーツにセットして、新品モータの軸に真直ぐになるように セットしてからプーラーを締め込んでいきます。
先端が少し入るまでは不安定な状態ですが、少し 入り始めると後はスムースに気持ちよく入っていきます。
締め込みながら、古いモータの全長と同じ長さまで締め込んでいきます。
ここまでの作業時間はユックリやっても5分と掛かりません。アッと言うまに完了です。

新品のモータに黒い部品を組み込んだら後はアクチュエータを元に組み直し車に戻せば修理作業は完了です。 作業を終えて、あまりの簡単さ速さに正直驚きました。ゆっくり作業しても5分とかかりません。ここまで簡単に早く出来るとは思いませんでした。 これなら車から部品を外したら、その場でモータ交換を終わらせられるぐらいです。

■Youtube ピニオンギヤープーラによる作業動画  - from 30 Apr. 2016 更新

HPを閲覧頂いた方から作業についての質問を頂きました。説明するのが難しかったのでYoutubeに動画をUPしてみました。上手く撮れているか分りませんが 作業手順及びコツなども確認出来ると思いますので参考にしてください。

集中トアロック(オートロック)修理のまとめ

ここまで読んで頂きありがとうございます。
ピニオンギヤープーラーを使った交換は楽でモータに負担をかけない交換方法としていいですね! という事を後に続くみなさんへの提案でした。 但し、今回は取り外すプーラーと組付ける工具両方を使用した事に注意してください。
(組付ける時もかなりの力がいるので小さい部品だけにモーターのシャフトが曲がるなどのトラブルが起こりがちです。)

今回は古いホンダ車の修理でした。現行の車のアクチュエータもほぼ同じ構造のままのようです。ただアクチュエータの組み立てにネジでは無く溶着されていて簡単には分解できないなど他の困難な作業が発生する場合もあるようです。 またタイプによっては黒い部品の無いタイプや確認したわけではないですが黒い部品の穴が貫通していなく、今回のタイプのプーラーが使用出来ないタイプもあるようです。
なのでこの記事を読んでプーラーを購入または自作される方は事前に調べるなどした方がよいと思います。

集中トアロック(オートロック)修理が終わって動作を確認しましたが、快調です。動作の音が全然違います。素早く力強く動きます。 これが本来の動作状態ですね。これで施錠ストレスから解放されました。
めでたし めでたし